スペシウム光線という名の必殺技をご存知だろうか？
　念のために説明しておくと、円谷プロが制作したヒーローもの特撮テレビ映画「ウルトラマン」（「空想科学特撮シリーズ」という冠がついていた気もする）の主人公（？）、ウルトラマンの放つ、光線技である。
　この光線の原理とか、発射の条件なんてものは、今はどうでもいい。柳田理科雄先生にでも任せておこう。問題は、この技名の知名度である。

　若年層に対して、どれくらいの認識度を誇るのかは知らないが、少なくともぼくらを含めたそれ以上のしばらくの世代の生まれで、スペシウム光線の名前を知らない人は、ほとんどいないんじゃないだろうか。下手をすれば、いや、下手をしなくても、特撮を良く知らない女の子でさえ、この名前を一度も聞いたことがない、などという人は圧倒的な少数派であろう。

　しかし、しかしである。ぼくがここで問いたいのは、
「どうしてその名前を知っているの？」ということだ。
　だって、作中でウルトラマンは、「ジョア！」とか「デュワ！」とか「ゾフィ、ゾフィゾフィ、ゾフィゾフィゾフィ・・・（エコー）」とかは言ってくれても、
「スペシウム光線！！」と高らかに叫びながら技を放ってはくれないし、他の登場人物にしたって、「今だ！　スペシウム光線だ！！」とか、「さっすがウルトラマンのスペシウム光線だぁ！」とか、言ってくれるわけではない。もちろん、全数十話の中で、何度かは言ったかもしれないが、決して毎回のように言ってくれていたわけではない。当然、ウルトラマンが必殺技を放ったシーンで、画面下部に「スペシウム光線」とか「八つ裂き光輪」とか「うねりんこネレネレクラッシュ」とか字幕が出ていたわけでもない。我が家では幾度再放送されても聞こえなかったが、実は副音声で、毒蝮三太夫がアシスタントの女の子を従えて「今のがスペシウム光線だ！」「うわぁ。格好良い〜」とか言ってたとか、古館伊知郎が「おぉ〜っと、出ました。必殺のスペシウム光線っ！　青空にかかる文字通り必殺の七色天空橋！！」とか実況していたわけではあるまい。

　「ウルトラ大百科」をみんなが読んだとは考えにくい。もしそうなら、「ウルトラマンが１回のテレポートで消費する寿命の年数」とかももっとメジャーなはずだ。
一体、ぼくらはどうやってスペシウム光線の名を知りえたのだろうか・・・？
これって結構、本気で不思議だ。求む！　解決案！！
・・・あと、どうしてエメリウム光線とかストリウム光線とかパンチレーザーはあんまり有名じゃないんだろう？　アイスラッガーとかは結構有名っぽいのに・・・。あと、きりもみキック・・・。