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▼ 携帯電話のマナー?

 電車の中で携帯電話を使うなどというとんでもないことを、あなたはしていないだろうか。

 「車内での携帯電話のご使用は、他のお客様のご迷惑となりますのでご遠慮ください」とは、電車やバスなどでよく聞く車内放送だが、その「迷惑」の内容はというと、いわく「話し声がうるさい」。いわく「呼出の電子音が耳に障る」。いわく「心臓にペースメーカーの入っている人がいたら・・・」。

 これは大変な問題である。実は世の人々は、人が会話しているのが大嫌いなのである。人が話しているとなれば、それが電話だろうが、同乗している連れとだろうが、一人で話していようが、もう気に障って仕方がないのだ。ただ、そこは大人の度量の広さで、「連れと同乗しているのなら、まあ許そう。もしかしたら数年ぶりに遭った大親友なのかもしれない」とか、「一人でしゃべっているのならしょうがない、もしかしたら自分には見えない偉大なる神との交信をなさってらっしゃる、高名な聖者かもしれない・・・」と、自らをたしなめ、平穏を保っているのだ。それが、何やら音の出る小さなプラスティックの塊に言葉を発している者を見れば、いつ激情してしまってもおかしくない。

 「呼出音・・・」の方は、もっと大変である。電子音が耳に障るということは、電車が駅を発車するたびに、車内放送があるたびに、その電子音を聞かされ、すでに我慢の限界が近いのである。そこに携帯電話の呼出音がなろうものなら、激高憤怒し、その呼出音を発したものを破壊せんと、髪を振り乱して暴れ狂うに違いない。今までそういう場に遭遇しなかったのは、よっぽどの幸運なのだ。

 さらに「ペースメーカー・・・」の問題は、非常に大きく深刻な問題である。たとえ車内で電話が鳴らなくても、「私は、電車の中でも携帯の電源は入ったまんまです。そうでないと、電車に乗っている間に誰から電話があったのか分からないし、第一に乗車前にいちいち切るのは面倒ですもの」と考えている人もいるかもしれない。そんな電車に、ペースメーカーをつけた人は乗るのである。わざわざ満員の時間に、坑電磁波素材の板等を胸に仕込んで自衛することもなく、自分がペースメーカーを入れていることを周囲に明かすでもなく、命がけで乗車しているのである。これは、われわれを心から信頼していなければできない所業である。つまり、電車の中で携帯電話を使うということは、命を預け、全幅の信頼を置いてくれている者を裏切る行為なのである。それがどれほど非人間的な行為であるかは、お分かりになるだろう。

 つまり、電車の中で携帯電話を使うことは、人類史上屈指の悪行なのである。

 ってか、いいから使わせろよ。移動中でも使えるようにPHSじゃなくて携帯にしてんだからよぉ。

1999.05.26

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